What's up BOSS
出口を決める
経営でもスポーツでも、共通するのは「出口を決めて、そこに向かう」ということだ。努力すれば報われる、という言葉は聞こえはいいが、実際には努力そのものが価値を生むわけではない。どこに向かって、何のために努力をするのか。そこが定まっていなければ、報われるどころか無駄になる危険がある。
売上や利益はもちろん経営の尺度として重要だが、それ自体が出口ではない。出口とは、そのブランドが「何を証明したいのか」「何を残したいのか」という問いに答える場所だ
B6TCのスポーツ選手たちも同じだ。「世界を目指す」「グランドスラムに行く」とゴールを語る選手は多い。しかし、いま取り組んでいる練習やトレーニングは、そのゴールに本当に繋がっているだろうか。繋がっているように見えて、ズレてはいないか。練習やトレーニングをしなければ強くはならない。だが、間違った努力では永遠に届かない。その差を見極めるのが一番難しい。
10年前に立ち上げた green bean to bar CHOCOLATE も同じだった。当時、日本にあったのは大手メーカーの大量生産のチョコレートがほとんど。そこに「農園までカカオを採りに行き、手作りで板チョコを作る」という、気が遠くなるほど効率の悪い生産体制で挑んだ。売上や効率をゴールに置けば、この事業は始める前から失敗だったはずだ。
だが、僕たちが目指した出口は違った。「大企業のマスマーケティングに負けずとも、本当に良いものは世界に受け入れられる」それを証明することだった。そのために効率を捨て、時間をかけ、産地に通い、クラフトで作り続けた。結果として、世界の名だたる賞をもらい、市場に新しいカテゴリーを打ち立てることができた。
何か上手くいった事があったとしても、常にそれを打ち消し新しい取り組みに挑戦することが、成長を止めない唯一の方法だと思う。変わらない強さと一緒に、常に変化させていくことがブランドを確固たるものにする唯一の成功法則だから。
それには痛みを伴うこともある。だがそれは、身体を強くするために全身筋肉痛になるような痛みであり、筋肉が強くなれば筋肉痛は消える。何もせずに消えていくブランドは数多くある。新しい飲食店はほとんどが上手くいかない。残っているブランドは、変化し続けているブランドだけだ。弱音を吐かず、ゴールに向かって強くなりたい。
