プロフェッショナル研修-Ms.Chloe Doutre Roussel-
私達の系列店に、1枚のチョコレートを数ヶ月かけて手作りするお店があります。世界一のチョコレートに7度選ばれている、「green bean to bar CHOCOLAT」です。
今回は、クラフトチョコレートメーカーが専門知識・技術を上げるために受けている、プロフェッショナル研修にお邪魔してきました。
講師である、クロエ・ドゥートレ・ルーセルさんは、良質なカカオを探し世界中を旅しながら、各国でプロ向けのセミナーを主催する、カカオのエキスパートです。我々のパートナーでもあるクロエさんは、年に数回来日しgreenのスタッフへ研修を行ってくれます。
研修中の印象的な場面は、色々なブランドのチョコレートテイスティングをしている時です。クロエさんがチョコレートのアロマや味について質問を投げかけた時、部屋は一瞬静まり、いつも決まった一人が答えていました。
クロエさんが言いました。
「同じチョコレートを食べても、感じ取る風味の表現は人それぞれ。同じチョコレートでも、土のような重みを感じる人もいれば、フルーティーな香りを強く感じる人もいます。それは、プロフェッショナルが集まったテイスティングでも、味の表現は人それぞれ」
日本人は人との良好な関係性を重視する傾向が強いので、自分の意見を思った通りに言うのは苦手な人が多いですが、少しずつ自分なりの表現を言葉にする人が増えてきました。クロエさんが教えてくれたのは「味の感じ方に、正解も不正解もない」ということでした。
さらに興味深かったのは、味を表現する際には、文化的な背景が反映される点です。フランスで育った人は、オレガノやタイム、スパイスやハーブを例に挙げて表現することが多いですが、私たち日本人にとってオレガノはイメージし難い食材です。
クロエさんが、あるチョコレートを「ココアのような味」と例えたとき、日本人スタッフは「きなこのような味」と表現しました。同じチョコレートを味わっていても、言葉にする際には、その人の食生活や日常が、色濃く反映されるのです。
また、人と違うことは、新たな表現方法を知る楽しさとして捉えていました。「どの風味を感じても、それを自分の言葉で表現することが大切なんです」と。自分の感覚に自信を持ち、表現することを恐れずに、楽しむことだと教えてくれました。クラフトチョコレートの研修を通して、楽しく生きるコツも教えてもらいました。