Vol.00

What Will be, Will be

果てしなく続く草原“セレンゲティ” は、見渡す限り360度の大草原が広がり、地平線の向こうから吹いてくる風は心地よく、どこまで走っても風景が変わりません。2時間ほど車を走らせるとようやく大きな岩山が、草原の中にポツンと見えてました。

岩山はライオンにとって絶好の棲家です。日陰で休むことができ、上まで登れば獲物を発見する事ができます。岩山頂上の木の上にはハゲワシが巣を作っていました。一つの大きな岩山に、30頭の大ファミリーが暮らしていました。

赤ちゃんはまだ生まれたばかりで、お母さんのお乳を飲み兄弟でじゃれ合い、移動する時は一生懸命に母ライオンの後ろをついて歩いています。

このファミリーのリーダーは、どうやら2頭の雄ライオンのようです。年上のライオンは足を引きずりながら歩いていました。もう1頭は若い雄です。2頭はとても仲が良く一緒に歩いたり、顔を撫であったりしながらテリトリーをパトロールしています。この日、僕らは2頭の雄ライオンに狙いを決め、彼らの1日を追いかけることにしました。

体重300kgはあるライオンが、昼間は水辺の縁でお腹を見せてぐっすり寝ています。その様子は、めちゃくちゃデカい、ぬいぐるみが寝ているようにしか見えないんです。

食事はランチボックスを持ってていて、昼と夜は車の中でライオンを見張りながら食べます。サンドウィッチとご飯、チキン1本にバナナやリンゴが入っています。

夕方になるとライオン達は動き出しました。近くに雌ライオンが3頭いて、一緒に歩き始めます。何か獲物がいればハンティングを試みたり、疲れたら休憩したり、時にはグッスリ寝てしまったり、気ままな散歩が夜中続きます。僕らは車でライオン達を追いながら、星が出るタイミングや、雲や月の様子を見計らい、写真を撮るチャンスを待っています。

ライオンが座ったり、寝たりするとライオンの手前3〜5mくらいに車の角度を決めて停車し、ライオンを起こさないように出来る限り音を出さずにカメラを付けたアームを出します。この段階で目を覚まして歩き出してしまうことがほとんどで、何度も何度も繰り返し、ようやく1枚撮れるとったところです。

僕はたくさんの動物を育ててているので、ライオンの雰囲気で動いてしまうか、寝るか、襲ってくるのか分かるようになり、皆に指示を出しながら慎重に撮影をすすめます。

10時に始まった撮影が終わったのは2時。日本とは全く違う仕事時間を、圏外の暗闇で動物と一緒に過ごしています。

人生の豊かさとは、モノを消費することではなく、誰もやったことのない事に挑戦することなんだと気付かせてくれます。

50代半ばのおじさんが、世界をアと言わせてやる、と本気で挑んでいます。写真を見てもらえる機会を作るので、楽しみに待っていて下さい!

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