Mr,George Howell -クリーンカップ-
スペシャリティコーヒーを語る上で、忘れてはいけない人物の一人が、ジョージ・ハウエル。
彼は60年代後半からサンフランシスコで暮らし、高品質なコーヒーを体験していました。
1974年にボストンに移住するも、そこで飲むコーヒーに満足できず、生豆を買って自家焙煎を始めます。
1975年にボストンのハーバードスクエアに「コーヒーコネクション」を設立し、上質な水洗式の生豆を浅煎りにしてフレンチプレスで提供するという、新しいスタイルを提案しました。
このお店は高品質のコーヒーと顧客教育で知られるようになり、最終的に24店舗まで拡大します。
ハウエルの先駆的な取り組みは、アメリカのスペシャリティコーヒー運動に大きく貢献しました。彼は今やロースターでは必ず見かける、コーヒーパッケージに焙煎日を記載する取り組みを始めた人物で、商品に対する透明性と消費者の知識やコーヒー体験を向上させました。
ジョージ・ハウエルが提唱した「クリーンカップ」という概念は、コーヒーの味がクリアで不純物が少なく、味わい深いものであるべきだという理念に基づいています。
特に彼はブラジル、エチオピア、ジンバブエ、パプアニューギニアからの高品質なコーヒー豆を扱い、農家がコーヒー豆の品質を高めることで、収入が増えるようになるためのプロジェクトを広めていきました 。
そして、「クリーンカップ」はスペシャリティコーヒーの概念となるのです。
1994年、スターバックスはコーヒーコネクションを買収します。この買収により、スターバックスはボストン地域での拡大の足がかりとします。また「フラペチーノ」の名前の使用権も得ました。皆大好きスターバックスのフラペチーノは、コーヒーコネクションからやって来たのです。
1975年にコーヒーコネクションがスタートしてから来年で50年、コーヒーはずいぶんと進化してきました。しかしその進化は、エスプレッソをベースとするカプチーノ、ラテ、マキアートに留まらず、フラペチーノやモカ、チョコレートなど、何かを加えて味を作ったり見た目をよくしたりする、スターバックス的な物が主体でした。
これは「クリーンカップ」とは別方向への進化です。
ジョージ・ハウエルが唱えた「クリーンカップ」とは、一体どういうものであったのか?
そして現代のクリーンなコーヒーとはどんなものであり、それはどこにあるのか?
引き続き探り、このコラムでお伝えしていきたいと思います。