Vol.00
What's up BOSS
価値の源泉
会社の売上を上げようと考えると、まず誰もが「認知を広げる」ことに意識を向ける。知られなければ売れないのだから、広告やSNSで目立つことは当然だ。しかし、認知を広げれば広げるほど、そこには落とし穴もある。
目立ちすぎれば、必ずライバルが増える。仮に差別化された強みがあっても、大手が真似をすれば一気に価格競争に巻き込まれる。「売れるならもっと売ろう」と思えば思うほど、長期的な価値は失われていく。
価値の源泉は、実は「希少性」にある。売り過ぎないこと、あえて出回らない状態を保つこと。それが、長く続くブランドにとっては必要になる。代表的なのは「ダイヤモンド」だろう。その希少性ゆえに、時を超えて価値が維持されている。同じように、バーキンもライカも、売上を最大化するより希少性を守ることを選んできた。
• バーキンは欲しい人すべてに売らない。手に入れるまでの待ち時間や体験そのものが価値になっている。
• ライカは大量生産をせず、工芸的な精度や物語を積み重ね、「替えのきかない道具」であり続けている。
ここに示されているのは、「価値を高めること」と「売上を上げること」は似ているようで別物だという事実だ。短期で数字を追うのは簡単だ。だが、長期で「希少性」を守り抜いた先にしか、本物の価値は残らない。

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