Vol.00

What's up BOSS

「若者カルチャーはどこに?」

Apple WatchのCM「心臓からのメッセージ」。51歳のヘビーメタル好きの男性が、Apple Watchの通知で心房細動を発見し、手術を経て再びライブに戻る。この映像が、今年のフジロック配信の合間に流れていたという記事を、Lobster mailで読んだ。

かつて、音楽フェスの対象若者だった。そこに中年男性を主人公にしたCMを打ち込む。これは偶然ではなく、アップルが40〜50代を対象と見ているからだろう。

背景には、少子化と人口分布の変化がある。日本の平均年齢は1980年の32.6歳から2020年には48.4歳へ。アメリカ30.0歳から38.5歳に、フランスは31.6歳から42.3歳に、イギリス30.0歳から40.5歳に上がっている。この40年で、世界的に文化の担い手が中年層にシフトしてきたのだ。

実際、僕の周りを見ても「年齢より若く見られる」人は増え、本人たちもまだ若者の感覚で文化に参加している。つまり、カルチャーの中心はすでに若者から中高年に移ってきている。「若者文化」という言葉が古びていき、大人たちが中心にいる“若者のいない文化”が立ち上がっている。

スキンケアやリカバリーウェアといったウェルネス業界は、その兆候に素早く対応していて、中年層を主役に据えた市場がすでに形成されつつある。文化の中心が動いた分野から、商品も広告も一気に変わっていく。

ブランドもアーティストも、この変化を無視できない。これからは “年齢を超えて楽しめる文化” を、どう作るかがポイントになるだろう。アップルではなく、新しいプレイヤーがそこを獲りにるのではないか。

Other stories

Mail Magazine

UNCOLORED WEEKLY MAGAZINEは、クラフトカルチャーを軸に、世界中を独自取材し、次の時代のヒントを見つける為のカルチャーマガジンです。毎週末にお届けします!