Vol.00
What's up BOSS
「ただ撮るんじゃなくて、比べている」
今回は、ネイチャーフォトグラファーとしての活動時、撮影中の心の内側について書いてみたいと思います。動物を撮るとき、「一体になる」みたいな表現をされることがあるけれど、自分はそんな感覚では撮っていない。むしろ、じっと観察してる。なぜこの動きなんだろう。なんで今ここに立ち止まったんだろう、って。撮っているというより、見せてもらっている、考えさせられている、比べている。
彼らの動きにはムダがない。力強くて、柔らかくて、でもどこか切迫している。野生は、そういうバランスで成り立っている。自由に見えて、危険と隣り合わせだ。
自分の暮らしと比べる。冷房が効いた部屋、スケジュールで詰まった一日。目の前の動物は、そんなものと無縁で生きている。それを「いいな」と思う気持ちがある。もちろん、彼らは必死で生きている。それでも、そういう日々の中に美しさがある。
写真は、ただ美しいから撮っているわけじゃない。「生きている」って、こういうことだったんじゃないかと思い出すために撮っている気がする。
世界には、まだ見たことのない動物がたくさんいる。撮られていない風景も、まだ残っている。だからこそ、できるだけ綺麗なままの地球が残っていてほしい。誰かのためとかじゃなくて、単純に、まだ見たいものがあるから。

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