Vol.00

French Open 2024-世界で戦うということ-

 フォアハンドのストレートからネットへボレーは少し浮き一瞬時間が止まったかのように思えたが、ボールはベースラインの内側に。

3時間を越える熱戦で、ギリギリの勝利を引き寄せたのは本玉真唯(24、安藤証券)。


1st set を7-5、2nd set でマッチポイントを握るも逆転され5-7、Final setは1-3、2-4、2-5からの大逆転。Final set相手のマッチポイントは5本?いや6本あっただろうか……緊張感が最高に高まる中、本玉選手はラケットを振り、フォアハンドで攻めた。あまりにもデュースが長ぎて、何回目か分からなくなったが、とにかく彼女は引かなかった。

強かった。


前週のマドリード大会で左足ふくらはぎを痛め、前日まで動いて練習出来る状態ではなかった。左足にはガッチリと包帯が巻かれ、それを見た相手は前後左右へと執拗に彼女を動かした。


Paris、ローランギャロスに来ています。

5月のParisは、世界最高峰のテニストーナメント、グランドスラムの一つFrench Open一色に染まります。グランドスラムは年間4大会(オーストラリア、フランス、イギリス、アメリカ世界中のテニス選手は、この大会への出場を夢見て子供の頃から毎日テニスコートで球を打ち続けています。

French Openは、第一回大会が1891年にフランス選手権として開催され、1925年に国際大会となりました。

グランドスラムの中で唯一、クレーコート(赤土)なのがFrench Openの特徴で、球足が遅く高く跳ね上がります。

そのことによりラリーが長く続き選手はパワーやスピードだけでなく、スライスやドロップショット、ネットプレーなど様々なテクニックが試される、テニスを奥深く楽しめる大会なのです。

会場には3つのスタジアムがあり、今年から全てのスタジアムに屋根がつきました。


メインスタジアムは「コート・フィリップ・シャトリエ」、収容人数 1万5千人。フランスの名プレーヤーにちなんだ名前が付けられています。

2nd スタジアムは「コート・スザンヌ・ランラン」、テニスの女神とう意味で、フランスらしくて可愛い名前ですね。このコートの収容人数が1万人なので、有明コロシアムと同じ大きさになります。

French Openの会場は、ブローニュの森の中にあり緑に囲まれています。

そして、その会場に隣接してる温室の中に2019年、新たに設けられたのが「コート・シモーヌ・マチュー」、1930年代に活躍したフランスの女性選手の名前が冠されたこのコートは、5千人収容です。

 BLUE SIX Training Club の強化選手である、内山選手と本玉選手は予選の切符を掴み取り、Parisへ乗り込んできました。

 予選を3回勝ち上がると本戦(128人)に出場出来ます。予選1回戦の賞金が300万円、それが本戦になると1回戦で1200万円に跳ね上がるのです。

本戦からの選手(世界ランキング100位以内)は、出場するだけで1200万円!

これだけでもグランドスラムがいかに大きな大会で、そこに出場するのが難しいか想像出来ると思います。

内山選手は、怪我が重なりランキングを落とし、昨年末の時点でグランドスラム出場は厳しい状況でしたが、年明けから好成績を重ね、4月の韓国チャレンジャー大会で優勝。ランキングを跳ね上げグランドスラムに滑り込みました!

 本玉選手は、昨年からグランドスラム出場は確実の120位近辺をキープしていて、100位を切るチャンスを狙っている状況です。
520日から予選がスタート、会場は超満員。地元フランスの応援団は、音楽隊と大声援で自国の選手を徹底して持ち上げます。

内山選手の対戦相手は地元フランスの若手選手200km/hを越えるサービスと、スピンの効いたストロークが武器の次世代フランスのホープ。
内山選手は本来クレーコートを苦手としていてる上に、地元フランス選手が1回戦。アウェイの大声援の中で厳しい戦いが行われました。

7-5 2-6 7-5 WIN

試合後に内山選手から話を聞けました。

「試合を通じて、上手くっている事、いってない事を分析し、修正出来た。終始落ち着いて試合を進めることが出来ました。
3セット目に入り、2nd setでポイントを取られていたラリーの展開を、なるべくさせないように修正出来たのが良かったです。
前に行くところ、我慢するところを間違えなかった。
Final セットでは経験の差が出たと思います。5-5での相手サーブ、焦って決めにきているのを感じたのでチャンスあるかな、と。
6-5では、チェンジコートの時間に、やってはいけない事と、やるべき事を整理し最後のサービスゲームに入りました」

 幾度となく厳しい試合を乗り越えてている内山選手、焦ることなく戦況を分析しやるべき事を確実に実行する。頼もしいです!

この1週間、2人の練習から大会での過ごし方、試合を見ていて、プロフェッショナルとはどういうことなのかを教えてもらいました。大試合前だからとってビリビリしたムードを出さずに、自分のペースで笑顔を作り普段と変わらない雰囲気を作っています。

2時間前までCafeで若手の育成について談笑をし、「そろそろ、ちょっとアップ行って来ますねー」と言って試合に入るのです。
彼らは、普段の練習や生活から、この日のためにやるべきトレーニングを積んでているのです。

世界で戦うには、頭を使い、普段のトレーニングを楽しみながらコツコツと積み上げてく。

Project Top 100は夢物語ではありません!

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