Vol.00

B6TCヘッドコーチ増田健太郎氏に聞く、「若手選手の育成方法」

BLUE SIX TRAINING CLUB(=B6TC)に所属する選手たちは、札幌での国際大会へ2週間の遠征に来ています。

Q 今大会はB6TCとしてはどういう位置づけの大会ですか?

増田コーチ
「まず、選手たちにポイントを取るチャンスを与えるというのが一つ大きな目的です。正直レベルの高い大会です。今回も30位台の選手でも出られない人がいます。そんな大会に出て、ポイントを取るチャンスがあるのは大きな意味があります」


Q 試合以外の時間、選手たちはどう過ごしているでしょうか?

増田コーチ
「試合だけでなく、2週間、試合での反省点をすぐに生かして、次に向けて切磋琢磨でき、普段の練習とはまた違った経験が得られるんです」

Q 遠征中の練習はどんな事をするのですか?

増田コーチ
「会場にはいろんな選手が集まります。左利きの選手やサーブが速い選手など、いろんなタイプの選手とボールを打ち合うことで対応力身につきますし、練習マッチもあります。それが良い経験になるんです。特に今大会では豊富な練習コートと良いボールが用意されているので、選手たちは朝から夕方までしっかり練習できます。こういう環境は選手にとってすごくありがたいですね」


Q 選手を育成する上で大事にしていることは何ですか?

 

増田コーチ
「日々の積み重ねですね。スペインに行ったときに感じたのは、彼らのボールを打つ量が圧倒的に多いということです。打つ量が3倍になれば、上手くなるのは当然です。それを日本の選手にも実践させました。毎日の練習で体力を限界まで使い切るようにする。これを続けていくと、選手の能力も自然と上がってきます」


Q それはかなりハードですね。でも、増田さんのチームは明るい雰囲気でやっているように感じます。それも意識しているんですか?

増田コーチ
「そうですね。『今日は3倍の練習だ』と言ったら、選手はげんなりしてしまいますから(笑)。いかに楽しく、自然にやらせるかが大事です。厳しいことを厳しく感じさせないように、楽しさを作ることを心がけています」


Q 選手がコートで怒ったり、落ち込んだりすることもあると思いますが、そういうときはどう対応していますか?

増田コーチ
「選手が怒ることは理解できますし、その原因を突き止めるようにしています。なぜミスをしたのか、どうして怒っているのか、話を聞いて解決策を一緒に探るようにしています。コーチですが上から目線でものを言わないこと、悪い態度に出さないことを心掛けています」



Q チームをまとめる立場として、若手のコーチには、どういうふうに指導していますか?

増田コーチ
「若手のコーチとっても、大体は元選手なので、自分のやり方やポリシーを強く持っているんです。でも、コーチ1年目、社会人としても1年目という立場だと、振る舞い方や選手にどう見られるかが現役時代とは全く違ってくるんですよね。

特にエキスパートの人たちは自分の強い考えを持っているので、そこが難しいですね」


Q 内山選手先週優勝しましたが、その要因は何だと思いますか?

増田コーチ
「本人が本気で『100位に戻りたい』と思って、それを実行していることが大きいですね。その結果が今季の2勝につながっているんだと思います。年齢や体力的な部分で言い訳をせずに、妥協せずストイックに活動しています。すべてが100位復帰に向けての努力ですね」

Q 一時期は怪我でランキングを落とした中、今では150位くらいまできました。どうやって引き上げたのですか?

増田コーチ
「それは選手自身の気持ちだと思います。どれだけその世界に戻りたいかという意欲ですね。内山の場合、特にたき付けることはしていませんが、彼自身がその目標を強く欲しているので、僕はその気持ちをサポートするように見守っています」


 

Q コーチとして、選手がその時期に一番伸びる方法を常に考えている印象があります。時には自分が一歩引いて、他のコーチに任せたりするのもその一環ですか?

増田コーチ
「自分がすべてをやってしまったら、他のコーチも育ちませんし、選手も依存してしまいます。いろんな人のサポートを受けながら、選手たちを育てることが大事ですし、チームとしても成長していく必要があります。僕がやってきたことを、他の人できるようにしていくことで、チーム全体が強くなる。そして、BLUE SIXというチームで100位以内の選手を輩出したいと思っています。以前はナショナルチームで選手を引き上げる立場でしたが、次はこのチームからトップ100の選手を育てたいですね」

Project Top 100

Other stories

Mail Magazine

UNCOLORED WEEKLY MAGAZINEは、クラフトカルチャーを軸に、世界中を独自取材し、次の時代のヒントを見つける為のカルチャーマガジンです。毎週末にお届けします!